過去に何度か訪れた誘惑は
幻覚なのか夢なのか
現実逃避したくて全てから解放された時
漆黒の闇から
両手を掴まれ
首を絞められ
とても穏やかで優しい声で囁きかける
「貴女だけが苦しむ事無いじゃないか、こんなに自分だけ責めて嘆く必要なんて無いでしょう?」
「大丈夫」
「もう何もかもから離れて楽に終ろう」
「そして、貴女を苦しめる人間は一生もがき苦しめば良いじゃないか」
「羽ばたく翼だって有るのだから」
そんな嬉しい様な悪夢から目を覚ましたのは
真っ白な病院のベッドの上だった。
以来何度も導かれるが失敗する。
その声の主は誰だったのかは敢えて考える気も失せた時には生きてる苦痛の日々で
結局考える隙すら奪ってしまう程忙殺の日常を過ごす。
猫が来る前の御話。


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