2010年6月21日月曜日

OUTRAGE

話題の北野武監督最新作映画[OUTRAGE]北野的な任侠娯楽映画と思いながらも、全員が悪役で最後に嗤うのは……と言う奇妙な皮肉と暴力に独創的な美意識と演出が合った作品だったと言うのが個人的な感想。人をどう痛めつけるか、何処まで映画として殺しの描写が可能かと言う挑戦的な作品だと思える。[Noir]とも言う黒い世界で有ればこれ等は単純に暴力の美化、殺人を快楽に助長する様な誤解だって生じかねない表現の挑戦だったと言う印象だ。創作としての映画作品で評価されるのも、誰もが思いながらも其処には常に壁と言う[タブー]の存在が有ったからだろう。取り分け、物語はヤクザ世界の権力抗争と汚れた国に醜く闇で暗躍する男達の駆け引きだ。しかし、残念なのは、物足りなさと、実際私達はヤクザ世界何て知らない一般人なので、どうもその世界観の装飾が気に要らない。極道の美学何て言うのも私には到底絵空事だけに真実味に欠ける。

今回は然程地味にも見えたが、主人公の相棒役を演じる椎名吉平の古典的だが男前のヤクザ男の立ち回り役には意外な程魅了された。多分、監督も彼の今迄出演した作品には無い暗黒の男を演じさせたのも北野流愛すべきヤクザ美学だろうか。気付けばすっかり私は彼のヤクザっぷりに魅了されていた。暴力シーンの試行錯誤、確かに映像表現としてはと思う試みも中世の刑法等とかから
探し出したのだろう。飛び散る血の一滴すら彼は芸術性を求めたなと、お笑い芸人ビートたけしとは違う映画監督北野武。実際、彼はあの事故に遭わなければ、この才覚に一生目覚めないまま芸人で終っていたかも知れない。一線を越えると人間は変わるものなのかな。次回作にこの北野武監督的な[Noir]を是非期待したいと思えた。

0 件のコメント:

コメントを投稿